2011年6月11日土曜日

八ヶ岳研究上


会社近くのなじみの古本屋に獨標登高会の八ヶ岳研究上下巻セットが売りに出されていた。

山登りは精神の思索といった側面を色濃く持った行為からか著作物が多い。そういった著作物は山岳文学と称され名作がいくつかある。
もし私にあまたある山岳文学の中で最高峰として一冊を選べといわれたら何を選ぶのだろうか。

とても一冊に絞ることなど出来ないが、その数冊の中に山口耀久氏の「北八ツ彷徨」が含まれるのはまちがいない。
その山口耀久氏が創立したのが獨標登高会である。
獨標登高会というと忘れられない人物がもう一人いる。そう、久間田芳雄氏のことである。一ノ倉沢三ルンゼ冬期初登攀中に没した久間田氏のことは長くなるので今回は触れない。

八ヶ岳研究下巻は1976年に購入し、冬の地獄谷のバイブルとして活用させてもらった。「北八ツ彷徨」と「八ヶ岳研究下」は私の頭の中でイメージとしてだぶり上巻を読んでみたいと強く思った。しかしながら上巻は出版社「朋文堂」が倒産し絶版となっていた。
当然、古本屋街で上巻を探した。しかし神田神保町の悠久堂で見つけた上巻は当時学生の身だった私にはとても手の出せるような金額ではなかった。

そんな経緯があったから八ヶ岳研究上下を見つけたときには下巻がだぶることになるけれども買おうと思った。念のために書店の主人に「下巻はもっているので上巻だけを売ってくれないか」とたずねたところ、上巻だけを取り寄せてくれると約束してくれた。

そして数日後、書店の主人から連絡があり、待望の上巻を手に入れることができた。

ここのところ、通勤電車の中で一ページ一ページを慈しむように読んでいる。