2013年9月18日水曜日

冬が来る前に


根雪になる前に何とか発見したいと、20名を越える山仲間が手弁当で入れ替わり立ち替わり毎週のように現場へ入っているが行方はようとして知れず

根雪まで持ち越すと長期戦となるが、歳月の経過とともに鉄人土橋の痕跡は薄れ発見難易度はますます高くなる
雪がくるまで、もう限られた時間しか残っていない
それを皆は暗黙のうちに承知しているので毎週入るのである



捜索メンバーに対する安全管理上の問題から北鎌尾根稜線下の捜索についてはヘリによる捜索を主体とせざるをえないが、鉄人土橋はきちんとした男だから、しっかりとした山岳保険に加入していた。あと二回はヘリを飛ばすことができる。

一方で、アプローチの東鎌尾根は人力による地上作戦が進行中。


この三連休を挟んで私も含め10名が入る



先週は妻と二人で東鎌尾根の懸垂下降捜索ポイントをチェックしたが後半は台風の直撃を受け早々に退散した








ヒュッテ大槍から見上げる槍ヶ岳

2013年8月6日 その日強い雨は午後には上がり、その後天候は急速に回復。夜には快晴になったという
8月6日はヒュッテ大槍で停滞した鉄人土橋
午後になって急速に天候が回復し雲が切れていくさまを同じアングルで槍ヶ岳を見上げたはずだ
春夏秋冬、庭のようにしていた北鎌尾根だったから若い登山者のように過度な興奮はなく淡々としていただろう

それでも雲が切れていく槍ヶ岳を望み、「ああ、見慣れた槍ヶ岳だけれど相変わらず素晴らしい」
と山に居ることの幸せをかみ締めたことは疑いがない

私は今回の捜索で槍ヶ岳を仰ぎ見るたびに8月6日鉄人土橋が感じたであろうものと同じ思いを抱かざるを得なかった




9月14日の捜索途上で2595m峰の槍沢側のスラブを鉄人土橋の痕跡を求めて双眼鏡で覗いていた。
しばらくしてキヤノン製高性能双眼鏡が捉えたのはスラブの真ん中を登る二人のハイカーの姿だった 一瞬わが目を疑ったのは言うまでもない

無責任なコメントを残しながら通過していく数知れぬ登山者を見送りながら「槍沢の一般コースから!」このスラブに迷い込んだという彼女たちを救助するために長野県警と連絡を取り合いながら二時間を費やしたが、無事な笑顔に疲れも吹き飛んだ

ともすれば深刻になりがちな捜索活動のさなかで偶然出会ったハッピーエンド
それは私たちの救いとなった

全てにありがとう





槍沢側は開けておりおおむね見通しは良い




9月22日に計画されている懸垂下降捜索のためのマーキングを行った




槍ヶ岳を見上げながら登る稜線は、捜索目的でなければ最高のコースの一つであろう

19日夜出発予定

冬が来る前に、なんとか見つけ出したい

「紙ふうせん」の懐かしいあの歌を思い出した