2013年8月28日水曜日

鉄人土橋の捜索

鉄人土橋がヒュッテ大槍を8月7日未明に出発し、消息を絶ってすでに二十日が経過した
最も重要な初動は角掛氏が第一報を受けて直ちに現場に赴き、長野県警のヘリ1回、東邦航空のヘリ2回の捜索が行われた
東邦航空のヘリコプターにはカメラマンの横山氏も同乗しCMOSフルサイズ2500万画素の一眼でおびただしい数の写真撮影が行われた
この写真を多くの人たちが分担して隅々までなめた


一方、岐阜の村田氏、河村氏が第一陣として現場に入り、その後続々と山仲間たちが捜索に入った

ラントクルフトへ落ち込んでいる可能性があるということで
東邦航空のヘリは稜線下300mにある千丈沢の雪渓を地上の空き缶が見えるほどに接近して捜索した

鉄人土橋はどこに居るのか

千葉、栃木、茨城のクライマーが集まって対策会議を行った
北鎌沢左俣へ迷い込んだのではないかという意見もあったが、素人ならいざ知らず土橋に関しては、意図して左俣へ入ることはあるにしても、迷い込むことは考えにくいという意見が主流だった
独標以降の北鎌の稜線からの転落であれば森林限界をはるかに突き抜けており、展望も効くことからヘリによる初期捜索で発見される確率が高いのではないか

となればラントクルフトに落ち込んでいるのか?
稜線から300m下にある雪渓まで滑落することはまれで、稜線下100m程度の地点で止まるという

捜索の重点は森林限界下へとスコープされることになった
すなわちアプローチである

まずは東鎌尾根
村田、河村、辻、小沼によって4回トレースされたが手がかりなし
ブッシュに落ち込むと発見は困難という印象

北鎌尾根の稜線のP8までの間については
辻、小沼そして私と妻で捜索したが手がかりなし
辻、小沼は継続して槍まで探索
この間もブッシュに入り込んでいるとすると発見は困難という印象

水俣乗越から天上沢への雪渓のラントクルフト探索については
村田、河村そして私と妻で雪渓内部まで探索したが手がかりなし

天上沢下部から湯俣に関しては
谷川、安藤、石田、花塚、黒田で行ったが手がかりなし

並行して情報提供を求める文書の掲示が長野県警によって行われ、石田、川面によって登山者への配布も実施された

雪に覆われるまでが勝負だという共通した認識がある
では根雪になるまでの間に私たち山仲間は何をすべきか、何ができるのか
雪渓が最も後退し、ダケカンバの葉が落ち尽くすタイミングで山岳保険の捜索限度額をにらみながら再度ヘリコプターによる探索を実施するかどうかの判断をすることになる
私たち山仲間による地上からの捜索の焦点は東鎌尾根のブッシュ地帯に絞られた
超高倍率のテレスコープによる探索に連動した東鎌尾根の稜線からの捜索を実施する予定である

山仲間はそれぞれの休暇調整の最中である
捜索活動の最前線に立つメンバーだけで捜索がまっとうできるわけではない
バックヤードで支援するメンバーがいて成り立っている

例えば
各パーティーが連携してより効果的な捜索活動が出来るようなグランドデザインを設計する役目
安全管理の面から捜索活動全般を牽制する役目←この役目が最も重要である
より効果的な捜索を補助するギアなどを用意する役目
ネットなどを駆使しながら情報支援を行う役目、これには捜索活動中の気象情報の提供なども含まれる
現場から提供される各種情報を分析する役目
山岳保険、山岳共済の捜索費用限度額と出費の管理という役目
ご家族とのコミュニケーションをはかる役目
現場の見取り図の作成、写真撮影など捜索情報のインフラを担う役目
携帯電話が通じない区間を無線によって中継する役目
所轄の警察との連携を担う役目
捜索用のベースキャンプにおける炊事など全般の支援という役目
ベースキャンプ、あるいは捜索開始地点への荷揚げの支援という役目
千葉、栃木、茨城から沢渡までの運転支援という役目

数え上げたらきりがない

鉄人土橋に直接・間接にかかわる山仲間の総力戦であたっても手が足りない
沢渡までの車の運転、あるいは上高地の小梨平での中継基地など協力いただける方がいらっしゃれば是非ご協力いただきたいと切に願う

8/17 猫の手も借りたい
大学山岳部の許可を得た上で息子にババ平までの荷上げと水俣乗越での無線中継を頼んだ
鉄人土橋に可愛がってもらった息子は黙って40kgの荷上げ
息子は私からの無線機による情報を中継して山仲間にメールで配信し、
情報を受信して無線機で私に情報を提供する
その上で炊事当番もしてくれた


8/18 水俣乗越に前進基地を設ける
ここに軽量テントを設営し無線中継の根拠地にした
捜索の区切りに戻ってくるとテントの中からブラザーズ・フォーの歌が流れていることに気がついた
待ち時間に息子が音楽を聴いているのだった
息子はブラザーズ・フォーだということは知らずにネット上で素敵な歌だと思ってダウンロードしたのだという



8/18 天上沢のラントクルフト



8/19 望みのオレンジ色の人工物を目指して北鎌の稜線を探索するも成果なし
 失意の内に北鎌沢を下降していると15時から県警ヘリが北鎌尾根上を探索し始めた
松本署の岸本さんの働きかけによるものであろうか
流れる涙をぬぐいもせず、我を忘れてただひたすら祈った



水俣乗越にも情報提供の掲示をさせていただいた


ババ平にも同じ掲示物を設置させていただいた