2006年2月1日水曜日

恩師との再会

年に一度は高校時代の同級生と酒を飲む。

今年の新年会で木坂先生の話題がでた。木坂先生は1960年代後半から11年間佐倉高校の世界史を担当した先生である。
社会を見る目に目覚めつつある思春期の生徒に与えた木坂先生の影響は大きなものがあった。

今日、その木坂先生を囲んで政治家のT、役人のH、建築士のT、そして私の5人で食事をした。

木坂先生は広島大学を卒業して最初の赴任先が佐倉高校だった。
最初の年に、授業中一人の男子生徒が挙手をして立ち上がり「もっとちゃんとした授業をしてください」と言った。
これに対して先生は
「申し訳ない、ちゃんとした授業をします」とお答えになったというのだから真摯である。
そして猛烈に勉強したという。

笑いながら
「大学受験の時よりも勉強したかもしれないな」とおっしゃっていた。
そして生徒が熱心に授業に参加してくれるのでますます熱が入ったという。
また、当時、木坂先生はガリ版による手製のサブテキストを授業で使用していた。毎時間、一枚づつだったからトータルでは相当な枚数になるだろう。その当時私は数年分をまとめて作成しストックしているのだと信じ込んできたが、毎年新たに作り直していたことを知った。私はそのサブテキストを今でも持っている。
佐倉高校での11年間はそういったわけで大変充実していたとおっしゃっていた。

貧困、テロリズム、天皇制、歴史観そして宗教にまで話は及んだ。
宗教について語った最後に先生が19世紀の哲学者フォイエルバッハの次のようなことばを言われた。
「神が人を創ったのではなく、人が神を作ったのである」
32年ぶりに恩師の変わらぬ歴史観を見て、感銘を受けた。まさに32年ぶりの木坂先生の世界史の授業だった。