2019年7月4日木曜日

フリークライミングを哲学あるいは生き方として昇華させたジョン・バーカーが没して10年


2019年7月5日は2009年7月5日にカリフォルニア州マンモスレイクス近郊の岩場でソロクライミング中のバーカーが墜死してから10年の節目となる日である

印西や習志野で日々一緒に登るクライマーたちはジョン・バーカーを知らない世代がほとんどだし、知っていたとしてもジョン・バーカーに影響を受けたクライマーは恐らく皆無かと想像する
1970年代からクライミングを行っている人の間では、ジョン・バーカーといえば「岩と雪72号」で紹介されたグラビア写真、すなわちヨセミテ渓谷キャンプ4にある巨大ボルダー「コロンビア」に設定された課題である「ミッドナイトライトニング」を短パンで登る彼の姿のインパクトを持って語られる
すなわち「岩と雪72号」の発売が日本のフリークライミングの出発点だという人が多い
だがそれは少し違うように思う

そこには歴史の必然性というものがあって1970年代後半にはそのマグマが臨界点に達しつつあり「岩と雪72号」は最後のトリガーを引いたに過ぎないというのが私の評価だ
もしそうだとすれば「岩と雪72号」誌上のジョン・バーカーは、サーカスのようなクライミングパフォーマンスを行ったクライミングが上手な若者のそれ以上でも以下でもないということで終わったことだろう
だがジョン・バーカーは異なっていた
フリークライミングは哲学であり、生き方であることを貫き通したジョン・バーカー
私にはとてもできない

だからジョン・バーカーを想う時、イエスを裏切った弟子たちが処刑後三日を経てイエスの本質を知ったように私の顔はゆがみ激しく動揺する
「ジョン・バーカーよ、そうだったのか」と