松永敏郎さんの名著「空にただよう峰」より
国立登山研修所の設立に尽力した松永敏郎さんが現在のスタンディングアックスビレイの原型を岩と雪28号に発表してから51年が経過しました
私は松永さんに師事するような気持で1989年から数年間「日山協(現JMSCA)」指導常任委員を務めたことがあり、その中でスタンディングアックスビレイの研修会を幾度か実施しました
スタンディングアックスビレイはやわらかい雪で、しかも支点となりうる岩・灌木・氷がない時に使用するものです
技術的要点は確保者が受ける荷重をアックスのシャフトが雪面に突き刺さる方向に荷重転換させるという力学的な考え方にあります
従って下方向に引かれる場合には有効ですが、上方向に引かれる場合には力学的に破綻します
このため岩・氷・灌木など「より強固な支点」を得ることができるのであれば、それらを使用することを強く推奨しています
先月、機会があってJMSCA山岳コーチ資格の講習でスタンディングアックスビレイをどのように指導しているのかを知りました
それは私が知るスタンディングアックスビレイとは異なるものでした
30年前に指導常任委員を務めたメンバーはすでに委員会を離れ松永さんも10年前に他界しました
松永さんの指導のもとに検証してきたスタンディングアックスビレイはJMSCA指導常任委員会内でうまく引き継がれなかったのかもしれません
松永さんもあの世とやらで苦笑いしていることでしょう
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