日本アルパインガイド協会(AGS-J)の上級レスキュー審査に合格したのは先週のことで、やれやれというか、ほっとしたというか、ともかくもこの週末は妻と久しぶりに筑波山へ行って体力トレーニングをしたあと岩場開拓をしながらクライミングという平穏ないつもの週末を過ごすつもりだった
そうしたところ大竹さんから「この週末に中級、初級のレスキュー資格検定があるので三ツ峠へ来ませんか?」
とのメールを頂戴した
「お役に立てることがあるのなら喜んで・・・」
ということで今週も三ツ峠を訪れることになったのだが、東京消防庁ハイパーレスキューとの邂逅という印象に残る二日間となった
今回の検定会では3名が中級検定を受けると知っていたが、その3名が具体的に誰なのかは私は知らなかった
裏三ツ峠の駐車場から四季楽園への林道を大竹さんと登っていると、後ろから日高さんと松本さんが追いついてきた
なるほど日高さんと松本さんだったのか
そして残る一人は小見さんだった
四季楽園に到着しひとまず外のテーブルにザックを下ろして一息ついていると前日から入って四段ハングにボルト打ちなどをしていた勝野さんがテーブルまでやってきて
「森さんがジャニーズをつれてきているからちょっとまってて」
という
私はジャニーズの意味がよくわからずハテナ?と思っていたが、一拍おいてタレントのことだと気がついた
AGS-Jの副会長でもある森さんとジャニーズが下山してから四季楽園の中に入ってストーブにあたりながら検定開始時間を待つ
やがて一人の体の引き締まった精悍な顔つきの男性が入ってきて
「日本アルパインガイド協会の方々でしょうか?」
と問う
Aさんとおっしゃる方だった
この方がどのような方なのかは、その時点では知るよしもなかった
やがて小見さんがやってきて検定員の川瀬さんも到着し全員が揃った
その後はいつもの通り、普通のクライマーでもめまいがするような空中でのひと時が夕方まで続いた
勝野さんにしてはかなり遅くまでがんばって16時前に四季楽園に引き上げて懇親会
今日は東京都山岳連盟の講習会が行われていて、その講師をAGS-Jの現役ガイドが勤めているのでやがて廣川さんと大西さんもやってきた
ちなみに千葉県山岳連盟にAGS-Jの現役ガイドはいない
恐らく私がその唯一のガイドになるのだろうか
夕食後に知ったことだがAさんは東京消防庁ハイパーレスキューだった
外部に広く見識を求めてハイパーレスキュー隊の水準を更に高めたいという
そしてバーチカル環境下での山岳レスキューの頂点にあるときくAGS-Jの門を叩いたという
東京消防庁のハイパーレスキューといえば広く知られたレスキューのエリート部隊
通常ならプライドも相当高いと推測するが、そのような態度はまったくなく、あくまでも謙虚な姿にある種の感動すら覚えた
限られた少ない装備とガイド一人で行われるAGS-Jの山岳レスキューが頂点かどうかは第三者が評価するものであって、AGS-J関係者が発言するべきものではなかろう
そういった意味では身の引き締まる思いがしたのは言うまでもない
さてレスキュー資格検定のサポートという立場で、初めて参加した検定会の印象を一言
AGS-Jのレスキューについては「難しすぎる」とか「レスキューの為のレスキュー」などという外野の野次もあるように聞く
だが被審査者の立場を離れて冷静に一部始終を観察すると、万が一にも二重遭難が起こらないためのバックアップが施され、一つ一つの動作が理屈に沿ったものとなっていることが理解される
しかも限りなく単純化された各種動作には無駄がない
すなわち合理的である
外野の野次の多くは恐らく
「日本においてAGS-J上級レスキュー技術が必要なルートガイディングが実際のところどれだけ存在するのか?」
という意見ではないかと推測する
それぞれのガイドにはそれぞれの立場があり、それぞれの考え方があろうが、
少なくとも私に関しては空中でのレスキューをAGS-J水準で習得した上で5級ルート、6級ルートのガイディングを目指したいと思う
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夕方のこと
北アルプスの笠ヶ岳へ入っている息子からメールが入った
「只今、笠ヶ岳山荘にいます。予備日を使うことになりました。食糧等は大丈夫です。明日下山します」
とのこと
大学山岳部の冬山合宿偵察に二年生と二人っきりで入山している息子だが、相当しごかれているらしい
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三ツ峠の検定会は参加者が優秀だったこともあって予定よりも早く終わった
そのため小仏トンネルの渋滞を免れ15時30分に帰宅することが出来た
さっそく自宅のクライミングルームにあるボードで左ひじの様子をみながらクライミング
5ラウンドまで、できるにはできたが、まだ鈍い痛みが走り、むくみも感じる
土曜日は終始富士が私たちをみまもってくれた
空中でのひと時を過ごし四季楽園へ戻ってきたメンバー
右端の勝野さんのENSAエンブレムのキャップがまぶしい
Aさんと講師を担当した川瀬さんは日没まで励んだ
東京都山岳連盟の講師として三ツ峠に来ていた同じ日本アルパインガイド協会の廣川さんを加えてストーブにあたりながら少しばかり飲酒する
谷川岳一ノ倉沢烏帽子沢奥壁大氷柱は勝野さんによる初登攀後、第二登まで20年を要した
長谷川恒男、森田勝とグランドジョラス北壁ウォーカー側稜の冬期単独初登攀を競ったその勝野さんの穏やかな姿には風格すら感じられる
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