2022年5月17日火曜日

一ノ倉沢烏帽子スラブ下降用支点整備


元々はクライアント3人で素直ガイドと私の2パーティーの計画でした
ところが2名キャンセルとなりお一人様だけになってしまいました
本来なら中止するかガイド料を値上げするのが普通でしょうが、そのまま実施することにしました
お客様が一人だけなのでガイド自体は素直ガイドにまかせ、私はかねてから実施したいと思っていた烏帽子スラブの支点整備を行うことにしました こういう条件でもなければ実施できないことなので、むしろチャンスかもしれません
過去30年間のルート開拓で打ったボルトは数百本に及ぶと思いますが、その時に活躍した松下電工製バッテリーハンマードリルEZ6800はすでにバッテリーが使えない状態だったので2019年にマキタHR171DZKへ買い替えていました
さらにペツルのハンガー(昔は平山ハンガーを良く使っていました)やステンレス製「後施工アンカー」など当時と同じ資材を整えてザックに詰め込みました
物凄い重量です

5月16日
15時に素直ガイドの運転で自宅を出発 16時八重洲でHさんをピックアップして18時25分に土合山の家に到着
宿泊客は私たち三人だけのようで大変恐縮しました
いつもの豪勢な夕食でした クライマーとして食事制限をすることが体に染みついているので食べきれませんでした 食後は温泉に入って21時に就寝

5月17日
3時起床 4時土合山の家を出発しベースプラザ駐車場に車を停め、4時半に出発
登山指導センターで登山計画書を投函し一ノ倉沢出合へアスファルト道路を歩き始めました
観光客へのオープンは5月20日ということなので、出合のトイレは閉鎖されていましたし、ベンチや看板なども撤去されたままでした
この時期なので雪渓の厚みも十分でテールリッジ末端のかなり上部まで達していました
南稜テラスまで素直ガイドパーティーと一緒に登ってそこで別れました

今回整備したのは南稜テラスから中央稜テラス間の烏帽子スラブの下降用ラインですから登りには適しません
暗くなったり、けが人がいても下降できるように懸垂下降を前提としたもので、既存のリングボルト支点のボロスリングを撤去してペツルを2本づつ追加しています
懸垂下降用にクイックリンクを介した接続となっているので力学的にはあえてADTと同じように平行に打っています
それぞれの支点間隔はけが人の搬送を意識して60mロープでカウンターラペルが可能なように30m以内にしており合計4ピッチです 救助者が2名いてダブルデミキャプスタン(ENSAテキストではダブルムンター)の結び目通過ができれば60mダブルロープを連結し120mロワーダウン1回で安定したバンドに達することができます このバンドを20mほどトラバースすると安定したテラスがあり、さらに20mで中央稜テラスまで達することができます 念のためトラバース終了点の安定したテラスにも同様の支点整備をしています
要救助者を中央稜テラスまで降ろすことができれば、あとは何とかなるでしょう

今回整備の為に追加したステンレスアンカーは径12mmで接着剤を充填し密封していますが、脱落の可能性はゼロではありません 古いリングボルトも残してあります
いずれを選択するかは自己責任でお願いします

整備前

整備後

回収したボロスリング

が支点整備箇所

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