2017年6月27日火曜日

研修の山場「暗闇の中をプラン針峰へ」


主にフェイスブックの日本アルパインガイド協会のページに記述しているので本ブログでは25日のミサの後にミディへ登ったところまで記述した
26日月曜日にENSAガイド研修の後半がスタートした
後半のスタートはバレー・ブランシュで氷河のクレバスに転落したクライアントを救出するトレーニングから始まった
19日にもメールドグラスでクレバスレスキューのトレーニングを行っているが、この時には自己脱出とプーリーシステムの再確認にとどまっていた クレバスレスキューで最も難しいのはクレバスに転落したクライアントに引きずり込まれないことにある もし引きずり込まれなければ、半ば成功したも同様である
後は加重を支えながら引き上げの為の支点を構築する 山本ガイドと私が交互にクライアント役とガイド役を交代し、クライアント役がクレバスに飛び込み、ガイド役がそれを止めて、引き上げる

そのようなトレーニングを行って26日月曜日が終わり、その日はコスミック小屋に入った
コスミック小屋は近代的な山小屋で完全な水洗トイレが完備されている テラスに出るとシャモニの街が見下ろせるのでかろうじて電波は届くが不安定だ
スマートフォンの充電用USBの差込口が用意されていたのはありがたかった スマトフォンのネットワーク機能を見るとWiFi環境も整っているようだが、小屋内にはWiFiサービスの提供をうたう表示もなくパスワードもわからない
夕方から小雪が舞い始め、やがて雨模様となった 氷河の山で雨とは普通ではない やがて再び雪となった
寝苦しい夜だった 体が高度に順応しようとしているからだろう 熟睡とは程遠いレベルの睡眠で2時半に起床
外を見ると小雪が舞っている
近年のアルプスは以上高温が続いており、今年はそれが更に進行してコンディションが悪い
ブルーノ教官によると「グーテ小屋経由のモンブランへの一般コースは状態が悪く、ガイドは行っていない」という
それゆえコスミック小屋経由でモンブランを目指すパーティーも多く、それらは1時半に出発してすでにタキュルの中腹にまで達している
コスミック小屋では朝食は何回かに分かれて提供される
一番早いのはモンブランへ向かうパーティー用に1時、その次が3時で最後が5時
私たちも3時の朝食を終え、雪とガスが流れる悪天候の中を3時58分に出発した
コスミック小屋の外へ出てみるとヘッドランプの照射範囲内を雪とガスが横に流れている
天気が悪ければ悪いほどガイドトレーニングになると出発前に勝野さんに言われていたが、まさに格好のガイドトレーニング日和になったわけだ
出発時点ではクレバス転落対策用のロープ連結をしてヘッドランプの灯りを頼りにしてミディ針峰・プラン針峰間の稜線へ向かう
やがて稜線に突き当り右折してプラン針峰方面へと向かう 穏やかだった稜線はしばらくしてナイフリッジとなり、そこからはショートロープに切り替える
暗闇と風雪で両側は見えないが、シャモニの街から見える稜線上を歩いているのは間違いないが、風雪模様では街の灯りも見えない ナイフリッジは雪ではなく氷でできており誰かが落ちたら他のメンバーは反対側に飛び降りる手はずになっている
やがて標高3600m付近から稜線はプランのコルに向かって急降下し始めた
ここでブルーノ教官は右へ分岐している稜線へ方向転換するように私たちに指示した
しばらく下っていくとブルーノ教官は氷の斜面にアバラコフ(V字スレッド)を設置し、結局3ピッチの懸垂下降を行った
3ピッチ目は大きなクレバスをまたいで氷河に着地
ブルーノ教官は標高3600m地点から稜線伝いにプランのコルへ下降するのは危険と判断したわけだ
このあたりの判断もガイドトレーニングの一環として学ぶ点が多かった
ここでヘッドランプを消灯
3475mのプランのコルは間近だというが、視界が悪い
クレバス歩行に切り替えてプランのコルに出た
気温が高いために吹き付ける雪は牡丹雪で全てがびしょ濡れだ
コルから20mほど進んだところに良いテラスがあり、ここでシャモニの気象情報の更新時間を得るために20分ほど待った
しばらくするとガスが切れ、視界が効いてきた
左下にプランドレギーユの駅舎が見え、2400mほど下にはシャモニの街も見える 対岸の赤い針峰群は雲に覆われているがフレジェールの駅舎も確認できた
気象情報の結果は芳しいものではなく、やがて再びガスにおおわれ始めた
昨夜コスミック小屋で一緒になったJMGAの川崎ガイドと佐藤ガイドはモンブランへ向かったが、プランよりも標高が1200mも高く遮蔽物のまったくないモンブランの稜線でどうしているだろうかと思いをはせた
天候は再び悪化し始めたがブルーノ教官は、先へ進むように指示
もろい岩場に牡丹雪が積もっているという不安定な岩場をプランドレギーユまでの標高差1500mを意識しながらどんどん登っていく
ブルーノ教官が言うにはコンデイションの良いときであればこの辺りのもろい岩は固い雪面におおわれているそうで、仮に雪に覆われていない時でも凍結していれば不安定なクライミングはしないで済むという
このような不安定な岩場の通過方法にも様々な配慮がなされておりガイドトレーニングの為の良い教材となった
やがてしばらく登ったところでブルーノ教官は「コンディションが悪いので、これからミディまで戻る」と言う
これからミディまで登り返すのかと思うとうんざりするがこれもガイドトレーニングの一部だ
プランのコルまで下降し、ここから稜線伝いに3600mの分岐点まで氷のナイフリッジをショートロープで登り返していく
再び風雪模様となって視界が悪いが上部から3人パーティーが私たちが登っている氷のナイフリッジを下降しようとしている
ここでブルーノ教官はショートロープからスタカットに切り替えた
3人パーティーの滑落に巻き込まれる危険性を考慮してスタカットに切り替えたことはすぐに理解され、このような判断もガイドトレーニングの一部であることを思った
すれ違ったパーティーはイギリス人ガイドとクライアント2人で、クライアントのクランポンテクニックはおぼつかないもので体も委縮していた
ブルーノ教官のスタカットでのビレイは私が知らなかった方法で新鮮だった 私が写真を撮らせてくれと頼むと体勢を変えながら何枚も撮影させてくれた
3600mの分岐点からは朝通過した氷のナイフリッジを再びたどった
やがてコスミック小屋やコスミック山稜、コスミックバットレスへと向かう分岐点の大きな雪原に出た
やれやれだ
ミディ駅舎までの“雪”のナイフリッジを慎重に登って本日の研修終了
時計を見るとまだ朝の9時
濃密な素晴らしい5時間余りのガイドトレーニングだった

この時間帯はミディは登ってくる人は多いが、下降する人は私たち以外にはいない
ロープウェイのゴンドラを三人で貸切ってシャモニへと戻った

10時前にUCPAに戻り、洗濯をしたり、シャモニの街を探索したりして過ごした
その中で小さな金物屋を発見した
いわゆる金物屋だが日本で良く使われるカセットガスが販売されていた
ただし値段は高かった







クレバスに飛び込んだ後、さらなる落下を防止するためにスクリューをねじ込む私



コスミック小屋


クレバスにぶら下がり、山本ガイドからの救助を待つ私

研修場所の周辺にヒドンクレバスがないかどうかをプローブでチェックするブルーノ教官





コスミック小屋内部









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