2023年8月13日日曜日

16名という大部隊で遡行した赤木沢

このブログを土橋さんはとても楽しみにしていて、しばらく更新を怠っていると山で事故でも起こして入院しているのではないかと心配して電話をかけてくれたものでした

さて、今日もあれこれ書き散らすことにいたしましょうか


この山の日の三連休はバリエーションスクールで赤木沢に行っていました
私は東京都山岳連盟でプロガイド養成委員会を担当していますがガイド養成以外にもいくつかの事業を行っています その一つにバリエーションスクールがあります
都岳連にはスクール形式の講習企画がたくさんありますが、ロープを使用する山行形式の企画はガイドテクニックが必須になるのでプロガイド養成委員会が担当しています
では、赤木沢の数日間を振り返ってみましょう

折立までのアプローチがまずは問題です 一番楽なのは新宿からの夜行バス「毎日アルペン号」ですが理由があってこれを使うことができません
それは素直ガイドが8月4日から日大山岳部ヘッドコーチとして剣立山に入っており、彼には8月10日に下山してもらい途中でピックアップする必要があったからです
昨年も全く同じパターンで「立山アルペン村」でピックアップしましたが、深夜1時過ぎに到着して5時出発というのは辛いものがありましたので、これはこりごりです
ちなみに都岳連の講師報酬は1日当たり6,000円と規定されいます これに技術手当1,000円 ロープ借用料1,000円、補食手当1日当たり1,000円が加算されますので今回の赤木沢の報酬は合計24,000円 一日当たり8,000円なので私のような定年退職老人にとってはありがたい謝金です 一方で現役バリバリで本格的にガイド業を営んでいる素直ガイドのような立場にとってはとても付き合いきれないというのが本音かもしれません つまりこの謝金では若い優秀なガイドには講師依頼ができません
さて、話を元に戻すと素直ガイドには富山まで来てもらい、富山で合流して駅前のビジネスホテルに宿泊するということにしました 素直ガイドが富山からバスで折立へ行くというプランですと8月11日の折立集合時間に間に合わないので、この選択肢がベストでしょう
ちなみに講師兼マネージャーとして参加していただける藤田さんも仕事の都合で北陸新幹線最終の「かがやき」で富山入りするようなので一石二鳥となります

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8月10日
9時30分自宅を出発 不足数量のトランシーバを借りるために東京神田司町の都岳連事務所に立ち寄り12時まで滞在して富山へ向かいました 都内の渋滞にもまれながらようやく練馬ICから関越自動車道に入り、富山ICを出たのが18時 富山駅までも渋滞で18時40分に素直ガイドと合流 富山駅近くのコインランドリーでウェアを洗濯したそうです 明日、有峰林道へ入りますが三日後に奥飛騨へ抜けるまでは給油ができないのでガソリンを満タンにしてからホテルへ向かいました
宿泊は「ダイワロイネットホテル 富山駅前」このホテルは良かったです 駐車場と直結で1階にセブンイレブンがあり、しかも二人合計で12,000円と料金も格安 おかげさまで熟睡することができました
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8月11日
ホテル1階にあるセブンイレブンで藤田さんと合流し5時に出発 亀谷ゲートの順番待ちはおよそ300m 折立では比較的良い駐車場に誘導してもらいラッキーでした やがて毎日アルペン号が到着し、続々とスクール受講生がおりてきました その中には今回講師をお願いした道家さんの姿も見えます
予定通り8時に折立を出発
天気はほぼ快晴 登山地図のコースタイムに準拠したペースで登り太郎平で大休止し行者ニンニクの入っている「太郎ラーメン」を食べましたが1200円の価値がありました
太郎平から薬師沢小屋までが下りのくせに結構長いので気を引き締めて出発 途中で数か所沢を渡りますが、そのあとに必ず登り返しがあるのです
16時25分に薬師沢小屋到着
最近評判の小屋番「やまとけいこ」さんは都岳連加盟団体の○○○○○会員で、しかも受講生の中に○○○大ワンゲルOBがいて到着直後からなごやかな一泊となりました
受講生のHさんが黒部川本流まで降りて「紙漉き」をしていました
ベランダでビールなどを飲んでのんびりしましたが、上ノ廊下からの遡行者はやって来ませんでした

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8月12日
薄明るくなった4時30分に出発
今年は渇水で黒部川本流は水量が少なく昨年左岸を高巻いた部分もすべて沢通しに通過できました この為、赤木沢出合の手前にある左岸の大高巻は回避することができ、懸垂下降を行いませんでした
赤木沢自体の水量は例年と大きな差はありませんでした
好天と水量の関係で藻の発達が懸念されましたが登高ラインを工夫することですべて回避することができました
2030m地点の“中段にポットホールのある2段20m滝”は取付き部分の沢底の土砂が流出したため、若干の泳ぎとなりました
ロープはこの滝と大滝で使用 いずれも事前にロープをフィックスしタイブロックで通過してもらいました
16名という大部隊でしたから大滝の通過が課題の一つでしたが、事前の段取りもあって50分で通過することできました 一人当たりおよそ3分 昨年は4人で30分かかりましたからまずまずでしょう
素直ガイドの「昨年に比べると何時間遅れ・・・」という報告を受けながら登っていきます
2340m地点で水源に到着したのでここで飲料水の補給
中の俣到着は13時18分 太郎平小屋到着は17時18分 大部屋に通され、荷をほどき、最後までとっておいたウェアに着替えてさっそくビール
長い一日が終わりました

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8月13日
朝食は5時半で出発予定は6時半のスケジュールでしたから起床は5時で充分なのですが4時前から起き始めたり目覚まし時計を鳴らす人もいます 事前の徹底が不十分だったかもしれません
予定通り6時30分に出発
1630m付近で熊に遭遇 熊とのにらみ合いとなりました 熊から目をそらさずにホイッスルを鳴らしながら威嚇し3mまで近づいた時点で退散してくれた
10時40分折立帰着 11時解散
帰りは東谷ゲート経由で金木戸まで出て、周辺で唯一のコンビニエンスストア「デイリーヤマザキ」に立ち寄りました ここはなじみの店でやっと終わったとの安堵感にひたりながら一休み
入浴は奥飛騨温泉郷を考えていたのですが、具体的な事前調査をしていなかったのでそのままスルーし安房トンネルを13時11分に通過し、いつもの通り島々の「せせらぎの湯」で汗を流しました
心配していた中央高速の渋滞は小仏トンネルを先頭に20㎞とそれほどでもなく20時25分に自宅に帰り着きました
いつもの通り幸子さんがへんてこな健康体操をしながら笑顔で迎えてくれました



赤木沢出合

赤木沢出合から赤木沢へ入るためのヘツリ

赤木沢に入る

中段にポットホールのある二段20m滝
ここは泳いで取付きます

大滝

大滝の滝つぼにはたくさんの山椒魚が住んでいます

ここで沢靴を脱ぎました

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